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油変われど思い同じ - 朝日新聞社

◇近畿の底ぢから◇  シマムラ(和歌山)

 日本髪の整髪などに使われる、びん付け油。江戸後期創業のシマムラ(和歌山市)は伝統を今に受け継ぐ。生活スタイルが変わり、オリーブ油を使った化粧品が主力商品になっても、「繰り返し使いたくなるものづくりを」という思いを守り続けている。

 黄色地の紙に、髪をすく和服の女性が描かれている。同社のびん付け油「鈴虫びん附(つけ)」は、歴史を感じるデザインの紙に包まれている。明治時代には、質の高さから「紀州びん附」と呼ばれるほど人気を集めた。整髪だけでなく、化粧の下地としても使われ、歌舞伎役者らの白塗りが崩れることを防いでいる。

 びん付け油は、ハゼを原料とした木蝋(もくろう)と植物油を釜で混ぜ、桜の木の棒を使って合わせる。同社の職人の和田浩一さん(72)は「現代の名工」にも選ばれ、長年の経験が高い品質を支えている。

 しかし、時代の変化を受けて、びん付け油の需要は減っている。そこで目を付けたのはオリーブだった。

 同社とオリーブとの縁は深い。さかのぼること1919年、当時の4代目が香川県・小豆島に、民間としてはいち早くオリーブ園を開設。食用や化粧用のオリーブ油を製造した。

 70年代になるとオリーブ園を観光農園に転換した。一方、オリーブ油が古くから化粧用に使われていることに目を付け、保湿成分として化粧品に配合した商品を開発。オリーブ園でハンドクリームなどをお土産として販売すると、肌なじみの良さなどが口コミで広まった。以来、オリーブ油を配合した化粧品が売り上げの柱になっている。

「買い続けてもらえる商品作る」

 7代目の島村辰彦社長(67)は「同じことをしていても大手には勝てない」と話し、新商品の開発に積極的に取り組む。5年ほど前から展開する「アットオリーブ」シリーズでは、オリーブ油の精製度を高め、赤ちゃんや肌の弱い人でも使いやすいボディーオイルなどを扱っている。

 一方、売り上げが少なくても、びん付け油の生産は続ける。創業時からの製品というだけでなく「お客さんがいる限りは、細々とでも作り続けたい」と島村社長。現在は若手の社員にノウハウを伝え、後継者育成も進めている。

 びん付け油もオリーブ油を使った化粧品も、長年の愛用者や口コミに支えられてきた。島村社長は「買い続けてもらえる商品を作ること。それが使命だと思っている」と語った。

(藤野隆晃)

 シマムラ 1842年、和歌山市で油商として創業し、びん付け油などの製造を始める。従業員数は16人。現在、びん付け油は完全受注生産。化粧品だけではなく、食用のオリーブ油や、オリーブの実とワカメを合わせた金山寺みそも販売している。

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February 12, 2020 at 08:57AM
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