米財務省(ワシントン)=ロイター
【ワシントン=河浪武史】米財務省は16日、2020会計年度(19年10月~20年9月)の財政赤字が、過去最悪の3兆1320億ドル(約330兆円)に達したと発表した。赤字幅は前年度の3倍強となり、連邦政府債務も27兆ドル弱と過去最大になる。11月の大統領選ではトランプ氏、バイデン氏とも追加の財政出動を主張しており、財政再建は当面先送りになる。
米政権・連邦議会は3月以降、国内総生産(GDP)の15%にあたる3兆ドル強の新型コロナウイルス対策を発動。歳出が6兆5520億ドルと前年度比47%も増え、財政収支が大幅に悪化した。赤字幅は金融危機直後の09年度(1.4兆ドル)を大幅に上回り、過去最悪となった。
米財務省は例年、財政赤字をGDP比で公表しているが、今回は経済の変動が大きいため試算を見送った。コロナ危機が深刻になる前の19年のGDP(約21兆ドル)と比較すると、財政赤字は15%となり、20%を超えた第2次世界大戦時に次ぐ極めて大きな規模となる。前年度(4.6%)や09年度(9.8%)を大幅に上回る水準だ。
連邦政府債務は27兆ドル弱に膨らみ、1年で約4兆ドル増えた。GDP比でも120%を超えたとみられ、第2次大戦直後の最悪期(1946年、119%)を上回った。これは国際通貨基金(IMF)が予測する世界平均(98.7%)を大幅に上回り、日本(266%)やイタリア(162%)に次ぐ水準となる。
基軸通貨ドルを抱える米国の財政悪化は、国際経済の波乱要因となる。ただ、米連邦準備理事会(FRB)のゼロ金利政策で目先の利払い負担は抑えられており、米政権・議会に財政再建の機運は高まっていない。11月の選挙でも、共和党のトランプ大統領と民主党のバイデン前副大統領は財政出動をそろって提唱しており、政府債務は一段と悪化する可能性がある。
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