インド洋の島国モーリシャスで座礁した日本企業の貨物船から、燃料の油が大量に流出した。マングローブ林に油が付着するなど、世界的にも貴重な生態系に相当な被害が出ているとみられ、地元経済を支える観光資源への打撃も懸念される。
モーリシャス政府は14日に声明を発表し、「住民に対し、経済的、社会的、環境的悪影響を与えている」としたうえで、流出によるすべての損害の補償を船主と保険者に請求する意向を示した。一方、船主の長鋪(ながしき)汽船は「責任を痛感しており、賠償については適用される法に基づき誠意をもって対応していく」と表明している。
長鋪汽船と船をチャーターしていた商船三井の人員は12日に現地に到着したという。日本政府も油除去のチームらからなる国際緊急援助隊を派遣し、さらに環境専門家らも送る予定だ。
遠隔地でコロナ禍もあったとはいえ、座礁からすでに20日余り、重油流出からでも10日以上経っている。現地の関係者に最大限協力し、被害拡大を食い止めることが急務であり、原状回復に全力を挙げねばならない。地元の要望に耳を傾け、必要であれば追加の人員や資材を送ることも検討すべきだ。
事故の当事者、関係者が責務を果たすことはもちろん、生物多様性を守る国際的な取り組みに関与してきた日本政府も、協力を惜しんではならない。
事故の原因究明と賠償にも誠実に臨むことが求められる。地元紙によると、貨物船の複数の船員が地元警察当局の調べに、WiFiに接続するために島に近づいたなどと供述しているという。真相を可能な限り明らかにする必要がある。
国際条約上、事故の責任はすべて船主が負う一方で、原則としては船の大きさなどに応じて責任額の上限も定められている。今回の場合、数十億円程度とみられる。こうした枠組みがどのようにあてはまるかは、実際の損害額の規模や、具体的な事故原因にも左右されそうだ。
タンカーの石油流出の場合、責任額の上限を超えても国際的な基金による補償があるが、今回のような一般船にはそうした仕組みがないとの指摘もある。
いずれにせよ、被害を受けたモーリシャス側が泣き寝入りを強いられるような事態を招いてはならない。日本政府も重大な関心を払い続けるべきだ。
日本近海では、1997年にロシアのタンカー・ナホトカから油が流出し、日本海沿岸が大きな被害を受けた。企業活動や物流が全世界に及んでいるいま、地球全体の環境保護と深い関係があることを、日本の社会としても忘れてはならない。
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August 19, 2020 at 03:00AM
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(社説)油流出事故 環境被害回復に全力を:朝日新聞デジタル - 朝日新聞社
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