【追跡！心臓の肥満】エネルギーになるはずの油が「心臓の肥満」を引き起こす「中性脂肪蓄積心筋血管症」 - ZAKZAK

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【追跡！心臓の肥満】エネルギーになるはずの油が「心臓の肥満」を引き起こす　「中性脂肪蓄積心筋血管症」（1/2ページ）

　日本人の死因で、悪性新生物（がん）に次いで多いのが心疾患（心臓病）。中でも多いのが、心不全と急性心筋梗塞だ。これらの心臓病は、適切な時期に適切な治療を開始すれば、健康な人と同じような生活を送れることが多くなってきた。そのため、健康診断などを受けていればむやみに恐れる必要はない。

　ところが、心臓病の発見が遅れたわけでもなく、標準的な治療を適切に行っているにもかかわらず、症状が改善しない難治性の心臓病患者が少なからずいる。その中には、今回ご紹介する「中性脂肪蓄積心筋血管症（ＴＧＣＶ）」を発症している人がいる可能性がある。

　ＴＧＣＶとはごく簡単にいうと、代謝の病気で、いわば「心臓の肥満」。正常な心臓の細胞では、グルコース（ブドウ糖）もエネルギー源として使われるが、より多く使われるのが長鎖脂肪酸（油）だ。しかしこの病気は細胞内の代謝がうまくいかないため、油がエネルギー源として利用できない。

　代謝されない油は、心臓を動かす心筋や、心臓自体に血液を送って養う冠動脈の細胞に中性脂肪として蓄積する。この病気が「心臓の肥満」といわれるゆえんだ。そして重症の心不全（ポンプ機能がうまく働かず、全身に血液が行き渡らなくなり、衰弱していく）、冠動脈疾患（心筋梗塞や狭心症）、不整脈等を引き起こしていく。

　冠動脈が塞がるのは、動脈硬化が大もとにあることはご存じの通り。それを引き起こす油脂といえば、コレステロールと答える人は多いはずだ。中性脂肪も動脈硬化に悪影響を及ぼすことがわかってきてはいるが、重症の心不全を引き起こすほど心筋や冠動脈にたまることがあるとは、これまで世界中のどの医学書にも書かれていなかった。