香港政府の林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官は4日、政府への抗議デモの参加者がマスクなどで顔を覆う行為を禁じる「覆面禁止法」を制定し、5日から施行すると発表した。政府は、立法会(議会)の審議を経ずに同法を制定するため、緊急事態の下で行政長官に大きな権限を集中させる「緊急状況規則条例(緊急条例)」を約50年ぶりに発動した。英植民地時代以来、香港が守ってきた法治主義を大きく損ねる事態といえ、香港の混迷は新たな局面に入った。
政府は4日、林鄭氏ら政府高官と親中派の有力者らでつくる行政会議(日本の閣議に相当)を緊急開催して覆面禁止法の制定を決定した。
緊急条例の発動は、英国の植民地だった1967年に起きた大規模暴動以来。
林鄭氏は記者会見で「ここ数日、デモ参加者の暴力行為は激しさを増し、公共の安全を脅かしている。法律の施行で暴力を抑制できると信じる」と語った。
政府は立法会向けの説明文書で、中国の建国70周年年の記念日だった1日、香港各地で一連のデモで最大級の衝突が起きたことが、今回の措置に踏み切る一因になったとした。
覆面禁止法は、公共の場で行われる非合法や無許可の集会やデモ活動に、マスクやゴーグルなどで顔を覆い個人の識別ができない姿で参加することを禁じる。5日午前0時に発効し、違反した場合、2万5千香港ドル(約34万円)以下の罰金や1年以下の禁錮刑に処せられる。
逃亡犯条例改正問題を機に6月から本格化した政府への抗議活動で、デモ参加者の多くは、警察が放つ催涙弾から身を守ったり、警察による個人の特定を防いだりするため、マスクなどで顔を隠している。政府保安局は、こうした行為が「(デモ隊が)警察の捜査から逃れることを許し、違法行為を続けたり、暴力をエスカレートさせたりしている」として、法で禁じる必要性を強調している。
一方、民主派は今回の措置が「議会を無視するもので、法治主義の崩壊だ」と猛反発している。
1922年に制定された緊急条例は、行政長官が緊急事態と判断すれば、集会や報道の自由、通信や移動の自由など市民の権利や生活を幅広く制限することができる。林鄭氏は「(条例の発動は)香港が緊急事態に入ったことを意味するものではない」とする一方、「暴力行為が高まるようなら政府は次の措置も考える」と述べ、さらなる規制強化に含みを持たせた。(香港=益満雄一郎、宮嶋加菜子)
2019-10-04 08:03:44Z
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